showもない

ぶっ飛んだピアスを身につけて欲しい

初恋クレイジー

最近SHISHAMOにはまっています。

今時の若者に人気の3ピースガールズバンド。

僕らの世代だとチャットモンチーがドンピシャでしょうか。そのポストにスッと収まっている彼女らは、いつの間にかねごとを追い抜いてシーンの最前線で活躍するまでに成長していました。

正直「君と夏フェス」や「僕に彼女が出来たんだ」を聞き齧った程度で「はいはいでたでた、チャットモンチーのフォロワーね」程度の認識だったのですが、とんだ思い違いだったので思わず筆を走らせている次第です。

 

youtu.be

“上記の「明日も」を聴いて感動した。“

何よりもまず、リズム隊が徹底してシンプルで無駄がない。ドラムは基本的に8ビートで手数が少ないしオカズも悪く言えば地味。ベースはおおむねルート弾き。分かりやすく乗れるブレイクも16分で刻むダンスビートも余りない。緩やかに、時に無理くり、曲が展開していく。

じゃあ何がいいのか?って、それは音色と歌声が気持ちいい事に尽きる。

歌メロとベースラインが、間に挟まるスネアが、常にハモっているかのようにピタリと調和している。宮崎朝子の声質を軸にして、最高に気持ちいいバランスで全体の音を仕上げている。だって、ボーカルの歌声一発で勝負できる程いいのだもの。音程もリズムも何処か流動的で、aikoを彷彿とさせるような通過音を効果的に利かすタイプ。その何だか不安定な歌声を支えて綺麗に聞かせる為に、恐ろしい程に気を配ってるんだよ、あのリズム隊が。フレーズこそシンプルなものの、粒立ちやダイナミクス、縦の揃え方がハンパない。基盤がチャキっと固めて、歌メロのブレをアクセントとして気持ちよく聴かせる。その点に集中する為に、余計な音をごっそり削ぎ落としている。引き算が圧倒的にうまくて、抑えるポイントをしっかり抑えてる。 宮崎朝子の歌声と調和する音色・リズムを出せるのは多分、あの二人だけ。

 

でもぶっちゃけ曲自体はそんなに難しくなくて、むしろ簡単な印象。高校生だとかが初めてコピーするのに何て丁度いいんだ、と感謝すらしました。でも奴らは本当にうまい。狙って簡単な曲にしていると言うよりは、上手く演奏するよりも、三人で楽しく演奏する事を優先している節があって、変に背伸びせず、自分達のポテンシャルを安定して出せるよう曲を創っていたらこうなった。って印象。だから安心して心地良い。だからライブを全力で楽しんでいる彼女らを観たい。しかもライブでも驚くほどブレない。

 

youtu.be

 

“最初に聴いた時にアジカンかと思った。”

彼女達の音楽は、今時の「ラウド」で「分かりやすく」「踊れる」流行りに反して、決して乗りやすいものでない。「生きてて良かった」と思う感慨も、人生を変えてくれるエピソードも、目頭が熱くなるメッセージ性があるわけでもない。例えるなら「ちょっと元気になるクスリ」で、聴いていると思わずにやけてしまい「良いバンド見つけたよ!」と友達や家族に気軽に話したくなる身近さがある。明日も頑張ろう、と少しだけ思えるような、じわじわとした喜びに満ち溢れている。彼女たちが自分の出来るベストを堅実に実現しようとしているから、「がんばりたい」人達に共感されているんじゃないかなあ。

 

などと書いていたら、いしわたり淳治氏の記事を思い出したのでリンクを貼っておく。音楽は薬か。

 

いしわたり淳治オフィシャルブログ・KIHON THE BASIC

 

”ダメだ もうダメだ 立ち上がれない

そんな自分変えたくて 今日も行く”

 

”痛いけど走った 苦しいけど走った

明日が変わるかは 分からないけど

とりあえずまだ 僕は折れない”

 

 

"まんまじゃないか。" 

彼女達には笑っている姿が似合う。悲しくても笑うし、辛くても笑う。

線の細い声で不安定に歌い上げるボーカルと、飾り気はないけれど堅実なリズム隊で支える。それが彼女らの魅力で、嘘偽りなく楽曲にも現れているように感じました。いいバンドですね。

 

小ぶりだけど生きのいい彼女らを応援していきたい。