showもない

ぶっ飛んだピアスを身につけて欲しい

夜を駆ける

前回に引き続き、スピッツへの愛を語ります。

何故なら初のライブ参戦が今週末に迫り、高まっているからです。

 

「名は体を表す」と言う諺がありますが、スピッツというバンド名は その印象と本質をよく表わしていると思います。

「ピ」の語感の丸さ、からの「ッ」による滑稽さには世間的なスピッツのイメージそのままですが、爽やかなサ行の中でも、鼻から抜けるウ段である「ス」から始まり、「ツ」と言う高く固いけれど主張しない音で終わる。スッと入って、余韻を残さず消えるから、合間の「ピッ」が強調される。アクセントも乗るしね。一方で単語本来の意味としては「尖っている、刺々しい」と言う裏の顔がある。爽やかとトゲトゲしさを、丸くボカしてる。音楽性にも反映されていると言うか、名は体を表す単語のナイスチョイスなんだけど、あまり知られていない。スピッツのことを「チェリー」や「空も飛べるはず」を知って終わって欲しくない。このブログはそんなスピッツの一面を代弁していく気持ちで運営しています。

 

 

 

「夜を駆ける」

スピッツの中で最も好きな曲です。

大学を卒業して地元へ帰郷する関越道、みぞれ降る中で運転しながら聴いていたのを覚えています。気付いたらボロ泣きして、思わずサービスエリアに寄りました。あれから早2年半。

 

youtu.be

 

ちなみにこの曲は、かの亀田誠治がアレンジャーとして参加しています。

そのせいか普段の彼らにはない壮大さと退廃さが漂っており、イントロからムンムンです。

アコギの音色と、シンプルだけど儚げなキーボードリフ、暗い情景が緊張感と共に浮かんで来る。

これはもう事件ですね。草野マサムネの作ってきた歌詞とコード進行だけから、このキーボードリフを思い付いた時点でガッツポーズしながら泣けるでしょう。

 

だが特筆したいのは、崎山氏のドラム。 

静かなイントロ~Aメロでは、感情を押し殺すように控えめなフレーズから、Bメロで手数が増えます。と言ってももたり気味のシンプルなもの。

それがサビに入った途端、まさに草原を駆け抜ける馬のような、夜道を急ぐ足音のような、焦燥感を駆り立てるフレーズをまくし立てるのです。

駆けていく足音と言うものは、人(テクテクテク)にしろ馬(パカラッパカラッ)にしろ規則正しくリズミカルですが、崎山氏のドラムは「タカタカタッ ッタッタカ」と言うスネアロールの繰り返し。これがダイナミクスを以って迫って来るのだから堪らない。控えめに言って最高です。

デザインや虚構の世界では、現実の忠実な再現よりもその二歩手前、人々が共通認識として持つイメージでとどめデフォルメした方が「そのものらしく」見える時があるそうです。(「不気味の谷」だとかはその最たる例でしょう。)音に着いても同じ事が言えて、映像の効果音などがそれです。先日TeDでそれ系の講演記事を読んだような…。忘れました。要するに、何だろう、卓越した演奏能力と最適なフレーズからくる演出効果がすごい?と言えばいいのだろうか。なんだか安っぽい。どれだけ散文を書き連ねても、曲の魅力をほんの一部も伝えきれない自分の文章力が情けない。頼む。いいから、聴いてくれ。

 

また、歌詞も珍しく風景画のようなです。

歌詞の解釈は最高に楽しいし、思う所もあるのだけど、草野マサムネ氏個人の魅力への言及になるので割愛。ググればいくらでも出てくるので是非。むしろ、メンバーが歌詞をどう解釈し、フレーズに落とし込んでいるかが気になっちゃう。

 

飲み明かしながら、朝までスピッツ生討論したい。